安全衛生ノート

〜脚立の安全対策(第3回)〜

平成26年7月

労働安全・衛生コンサルタント 土方伸一

脚立に起因する労働災害の分析(第3回)

今月は使用していた脚立の種類及び負傷の部位について解析を行っていきます。

◇解析その3……使用していた脚立の種類

死傷災害

 

 

 

死亡災害

 

 

脚立の種類

件数

割合

 

脚立の種類

件数

割合

高さ1m未満

44

7.0%

 

高さ1m未満

1

1.6%

高さ1〜2m未満

130

20.6%

 

高さ1〜2m未満

9

14.1%

高さ2〜3m未満

41

6.5%

 

高さ2〜3m未満

10

15.6%

高さ3m以上

17

2.7%

 

高さ3m以上

9

14.1%

高さ不明

399

63.2%

 

高さ不明

35

54.7%

合計

631

100.0%

 

合計

64

100.0%

 

上の表から判るように、脚立の種類と発生件数について、死傷災害と死亡災害では明らかな違いがあります。高さ2m以上の脚立による災害は死傷災害の9.2%ですが、死亡災害では29.7%を占めます。「高さ不明」のものを除くと、2m以上の脚立による災害は死傷災害では、25.0%ですが、死亡災害では65.5%に増加します。

これは、高い脚立を使用することによって、作業高さが高くなり、墜落時の危険が増加することを意味しています。

解析その4……負傷の部位

 

 

死傷災害では、負傷の部位は「足、脚」が最も多く、「頭、顔、首」は10%ですが、死亡災害では「頭、顔、首」が全体の28%、「不明」を除くと、実に86%に達します。

死亡に至るか否かは、頭を打つか否かで決まると言っても過言ではありません。しかし、脚立から墜落したときにどの部位を負傷するかは、死傷災害の場合で判るように、特定の部位に限定されません。

負傷部位が頭であれば、脚立による災害は死亡災害となるおそれが極めて高いことになります。

次回は、脚立の安定性(不安定性)について簡単な力学を使って説明したいと思います。